日本の大手製パン業者のパンは危険か?

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担当の林です。

今回はパンについてお話ししたいと思います。臭素酸カリウムという物質をご存知でしょうか?パンに使用される事がある物質です。

パン

『世界各国で禁止されている発がん性物質の臭素酸カリウムが、国内大手の製パン業者の製品に使用されている』

とのことで、大手のパンは危険だ、という見方があるようです。

これは本当でしょうか?本当に怖いことになっているのかもしれませんし、実は気にする程の事は無いのかもしれません。このような時に大切な事は、どちらかの側からの見方や感情論ではなく、現在手に入る化学的事実の情報のみで考える事だと思います。かといって技術的な話は理解が難しいので、出来るだけ単純に物事を捉え、考えてみたいと思います。

1.何のために使われるか?

そもそも臭素酸カリウムとは何のために使われるのでしょうか?臭素酸カリウムは、酸化剤というものに分類されます。酸化剤は、

「パンをふっくらさせる」

ために使用されます。パンがカチカチだと、美味しくないですよね。やっぱり美味しいパンというのは、ふっくらしていてほしいものです。では、臭素酸カリウムがないと、パンはふっくらしないのでしょうか?そんなことはありません。ありませんが、発酵状態を大きく改善する物として、使用されています。また、他にもふっくらさせる働きを持つ物質もありますが、この臭素酸カリウムが最も美味しく仕上がるのです。

2.本当に危険なのか?

日本では、使用の要件として3つあり、

1.パンにのみ使用が認められる
2.小麦粉に対して30ppm以下
3.最終製品前には、分解・除去すること

が求められています。
ppmとは、parts per million=100万分の1を意味します。つまり、30ppmとは、100万分の30、ということになります。ということは、1kgの小麦粉に対して0.03g、と言う事になります。

発がん性物質である
実は、日本を含め世界的にも、臭素酸カリウムは発がん性物質である事は認識されています。発がん性物質であるならば、これは使用を辞める、正当な理由だと思います。ただ、この場合には、含まれている量に気を配る必要があるのではないでしょうか?

先程、使用要件として、「最終製品前には、分解・除去すること」とありました。完全に除去出来ればそれが一番良いですが、最も大事な事は、人体に影響の無いレベルで無ければいけない、ということです。

日本パン工業会の資料よりデータを参照しますと、使用時には30ppm以下であったものが、最終製品前には、臭素酸カリウムは一般的な食パンの場合、0.5ppb以下でした(これは0.5ppbの残留があった、と言う事ではなく、機械の測定範囲内では、検出出来ないレベルであった、ということです。つまり最も多く混入していたとしても0.5ppbという意味です。)。

ちなみにppbとは、parts per billion=100億分の1を意味します。これは、1万トンに対して0.5g、ということなので、極めて少量、ということになります。少し強引な議論ですが、イメージしやすく説明しますと、水で換算した場合、縦・横・高さが約2.1kmの超巨大な水槽に、0.5gの混入物が入っている、ということです。極めて微量です。

よくよく調べてみると、水道水にも臭素酸は微量含まれています。
日本パン工業会の資料によると、その量は、平成10年のデータでも、平均2.8ppb、つまりパンの0.5ppbよりも多い量が含まれています。口にする物を全てミネラルウォーターにしている家庭なら良いですが、殆どの方はそうではないと思います。パンだけを捉えてけしからん!と言うのは、いささか強引な議論のような気がします。危険性について問うなら、パンよりも先に水道水の危険性について問うべきです。

もちろん有毒なものを口にしたくはないですが、目にした情報に対して本当にそうなのか?と、科学的事実をベースとして議論をする事は、とても重要なことではないでしょうか?

それに日本のパンは、ふっくらしていてとっても美味しいです。これまでと同じく、朝食には日本のパンを食べていきたいと思います。

パン

宣伝になってしまいますが、4月28日のイタリア料理教室を開催します。ご興味ある方は、ご参加頂ければと思います。

参照資料:(社)日本パン工業会・科学技術委員会小委員会資料、「パン生地改良剤 (臭素酸カリウム)の安全使用について」

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